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免疫沈降プロトコール (非変性タンパク質) (IP/Native Protein)

このプロトコールは、未変性タンパク質を免疫沈降し、ウェスタンブロッティングやキナーゼ活性による解析を行う場合にご使用いただけます。#73778 Protein A Magnetic Beadsあるいは#70024 Protein G Magnetic Beadsを使用する場合は、磁気分離の免疫沈降プロトコールをご参照ください。

A. 溶液および試薬

注意:溶液は、逆浸透脱イオン (RODI) 水、または同等の精製水で調製してください。

  1. 20X Phospate Buffered Saline (PBS): (#9808) 1X PBSを1 L用意する場合は、20X PBS 50 mLを精製水 (dH2O) 950 mLに加え、混ぜ合わせてください。
  2. 10X Cell Lysis Buffer:(#9803) 1X Cell Lysis Bufferを10 mL用意する場合は、10X Cell Lysis Buffer 1 mLを精製水 (dH2O) 9 mLに加え、混ぜ合わせてください。

    注意:使用直前に1 mM PMSF (#8553) を加えてください。

  3. 3X SDSサンプルバッファー:Blue Loading Pack (#7722) またはRed Loading Pack (#7723)。1/10容量の30X DTTを3X SDSローディングバッファーに加え、還元作用を持つ新しい3X ローディングバッファーを調製してください。
  4. Protein AまたはGアガロースビーズ (非標識一次抗体用):ラビットIgGの免疫沈降にはProtein A (#9863) を、マウスIgGの免疫沈降にはProtein G (#37478) を使用してください。

  5. ビーズ標識ストレプトアビジン (ビオチン化抗体用):(#3419) バイアルを静かにボルテックスし、免疫沈降1回につき10 µL使用してください。
  6. 10X Kinase Buffer (キナーゼアッセイ用):(#9802) 1X Kinase Bufferを1 mL用意する場合は、10X Kinase Buffer 100 µLを精製水 (dH2O) 900 µLに加えて、混ぜ合わせてください。
  7. ATP (10 mM) (キナーゼアッセイ用):(#9804) ATP (200 µM) 0.5 mLを用意する場合は、ATP (10 mM) 10 µLを1X Kinase Buffer 490 µLに加えてください。

B. 細胞ライセートの調製

  1. 培地を吸引してください。目的に応じて調節因子を含む新鮮な培地を加え、細胞を必要時間処理してください。
  2. 未変性状態で細胞を採取するために、培地を除去し、氷冷した1X PBSで細胞を1回洗ってください。
  3. PBSを除去し、各プレート (10 cm) に氷冷した1X Cell Lysis Buffer 0.5 mLを加え、氷上で5分間インキュベートしてください。
  4. プレートから細胞を掻き取り、遠心分離用チューブに移してください。氷上に保持してください。
  5. 氷上で超音波処理を3回 (各5秒間) 行なってください。
  6. 4°C、14,000​ x gで10分間遠心分離し、上清を新しいチューブに移してください。上清が細胞ライセートです。必要に応じて、ライセートは-80°Cで保存することができます。

C. 免疫沈降

細胞ライセートのプレクリア (非標識およびビオチン化抗体用のオプションステップ)

重要:一次抗体の免疫沈降で特異的な結合を確認するために、適切なアイソタイプコントロールの使用を強くお勧めします。ラビットポリクローナル一次抗体にはNormal Rabbit IgG#2729、ラビットモノクローナル一次抗体にはRabbit (DA1E) mAb IgG XP® Isotype Control#3900、マウスモノクローナルIgG1一次抗体にはMouse (G3A1) mAb IgG1 Isotype Control#5415、マウスモノクローナルIgG2a一次抗体にはMouse (E5Y6Q) mAb IgG2a Isotype Control #61656、マウスモノクローナルIgG2b一次抗体にはMouse (E7Q5L) mAb IgG2b Isotype Control #53484、Mouse (E1D5H) mAb IgG3 Isotype Control #37988を使用してください。同一濃度のアイソタイプコントロールを用い、また、一次抗体のサンプルと並行してプロトコールを進める必要があります。

  1. 1 mg/mLの細胞ライセート200 μLに、Protein A (#9863) またはProtein G (#37478) アガロース50%ビーズスラリー 20 μL、ビオチン化抗体にはストレプトアビジン (Sepharose®​ビーズ標識#3419) 10 μLを加えてください。
  2. ローテーターを用いて、4°Cで30-60分間インキュベートしてください。
  3. 4°Cで10分間遠心分離してください。上清を新しいチューブに移してください。
  4. 使用される一次抗体に応じて、適切な下記手順へ進んでください。

非標識一次抗体を使用する場合

  1. 製品データシートに記載されている推奨希釈率に従い、一次抗体を、細胞ライセート 200 µLに加えてください。静かに振盪しながら4°Cで一晩インキュベートしてください。
  2. Protein A (#9863) あるいはProtein G (#37478) アガロース (50% ビーズスラリー20 µL) を加えてください。静かに振盪しながら4°Cで1-3時間インキュベートしてください。
  3. 4°Cで30秒間遠心分離してください。ペレットを1X Cell Lysis Buffer 500 µLで5回洗ってください。洗いの操作は氷上で行ってください。
  4. ウェスタンブロッティングあるいはキナーゼアッセイで解析してください (セクションD) 。

ビオチン標識一次抗体を使用する場合

  1. ビオチン標識抗体を製品データシートに推奨されている適切な希釈率になるように、細胞ライセート200 µLに加えてください。静かに振盪しながら4°Cで一晩インキュベートしてください。
  2. ビーズ標識ストレプトアビジン (Sepharose®ビーズ標識#3419) を静かに混ぜ合わせ、スラリー10 µLを加えてください。静かに振盪しながら4°Cで2時間インキュベートしてください。
  3. 4°Cで30秒間遠心分離してください。ペレットを1X Cell Lysis Buffer 500 µLで5回洗ってください。洗いの操作は氷上で行ってください。
  4. ウェスタンブロッティングあるいはキナーゼアッセイで解析してください (セクションD) 。

ビーズ標識抗体 (Sepharose®​ビーズ標識) を使用する場合

  1. 静かに攪拌したビーズ標識抗体 (10 μL) を1 mg/mLの細胞ライセート200 μLに加えてください。静かに振盪しながら4°Cで一晩インキュベートしてください。
  2. 4°Cで30秒間遠心分離してください。ペレットを1X Cell Lysis Buffer 500 µLで5回洗ってください。洗いの操作は氷上で行ってください。
  3. ウェスタンブロッティングあるいはキナーゼアッセイで解析してください (セクションD) 。

ビーズ標識抗体 (磁気ビーズ標識) を使用する場合

  1. 静かに攪拌したビーズ標識抗体 (10 μL) を1 mg/mLの細胞ライセート200 μLに加えてください。静かに振盪しながら4°Cで一晩インキュベートしてください。
  2. チューブをMagnetic Separation Rack (#7017あるいは#14654) に設置することで、磁気ビーズを分離させ、溶液が澄むまで1-2分間静置してください。ペレットを1X Cell Lysis Buffer 500 µLで5回洗ってください。洗いの操作は氷上で行ってください。
  3. ウェスタンブロッティングあるいはキナーゼアッセイで解析してください (セクションD) 。

D. サンプルの解析

以下のステップから適切な操作に進んでください。

注意:磁気ビーズは、遠心分離しないでください。その代わりにMagnetic Separation Rack (#7017 または #14654) を使用してください。

ウェスタンブロッティングで解析する場合

  1. ペレットを3X SDSサンプルバッファー20 - 40 µLで再懸濁してください。ボルテックスした後、30秒間遠心分離してください。
  2. サンプルを95 - 100°Cで2 - 5分間加熱し、14,000 x gで1分間遠心分離してください。
  3. サンプル (15 - 30 µL) をSDS-PAGEゲルにロードしてください。
  4. サンプルをウェスタンブロット解析してください (ウェスタンブロッティングプロトコールをご覧ください)。

注意:分子量が50 kDa付近のタンパク質の検出では、変性した重鎖によるマスキングを最小化するために、Mouse Anti-rabbit IgG (Light-Chain Specific) (D4W3E) mAb (#45262) あるいはMouse Anti-rabbit IgG (Conformation Specific) (L27A9) mAb (#3678) を二次抗体として使用することをお勧めします。分子量が25 kDa付近のタンパク質には、Mouse Anti-rabbit IgG (Conformation Specific) (L27A9) mAb (#3678) あるいはMouse Anti-rabbit IgG (Conformation Specific) (L27A9) mAb (HRP Conjugate) (#5127) をお勧めします。

キナーゼアッセイで解析する場合

  1. ペレットを1X Kinase Buffer 500 µLで2回洗ってください。氷上に保持してください。
  2. 200 µM ATPと適切な基質を添加した1X Kinase Buffer 40 µLでペレットを懸濁してください。
  3. 30°Cで30分間インキュベートしてください。
  4. 3X SDSサンプルバッファー20 µLで反応を停止させます。ボルテックスした後、30秒間遠心分離してください。
  5. リン酸化基質を含む上清を、新しいチューブに移して下さい。
  6. サンプルを95 - 100°Cで2 - 5分間加熱し、14,000 x gで1分間遠心分離してください。
  7. サンプル (15 - 30 µL) をSDS-PAGEゲルにロードしてください。

更新:2008年12月

改訂日:2021年4月

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