酵素によるクロマチン免疫沈降 (アガロースビーズ) プロトコール (ChIP Agarose)
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A 試薬
Simple ChIP® Enzymatic Chromatin IP Kit (Agarose Beads) #9002に含まれる試薬:
- グリシン溶液 (10×、100 mL)
- バッファーA (4×、25 mL)
- バッファーB (4×、25 mL)
- ChIPバッファー (10×、20 mL)
- ChIP溶出バッファー (2×、7 mL)
- 5M NaCl (3 mL)
- 0.5M EDTA (1 mL)
- 1M DTT (200 μL)
- DNA結合バッファー (30 mL)
- DNA洗浄バッファー (6 mL)
- DNA溶出バッファー (1 mL)
- DNA精製カラム (36 Pack)
- プロテアーゼ阻害剤カクテル (200×、500 μL)
- RNAse A (10 mg/mL、20 μL)
- Micrococcal Nuclease (2000 gel units/µL、60 μL): NEB社製 #M0247S
- Proteinase K (20 mg/mL、100 μL): NEB社製 #P8102S
- SimpleChIP® Human RPL30 Exon 3 Primers #7014
- SimpleChIP® Mouse RPL30 Intron 2 Primers #7015
- Histone H3 (D2B12) XP® Rabbit mAb (ChIP Formulated) #4620
- Normal Rabbit IgG #2729
- ChIP-Grade Protein Gアガロースビーズ #9007 (blocked with BSA and sonicated salmon sperm DNA)
Simple ChIP® Enzymatic Chromatin IP Kit (Agarose Beads) #9002に含まれない試薬:
- PMSF (0.1M in ethanol)
- ホルムアルデヒド (37%)
- エタノール (96-100%)
- 1×PBS
- Nuclease-free water
- Taq DNAポリメラーゼ
- dNTPミックス
B In vivoクロスリンク、細胞核の調製、クロマチンの断片化
実験開始前の準備:
約4×107個の細胞を調製してください。この場合、免疫沈降10回分のクロマチン調製液が作製できます。
- 上記の細胞数は、HeLa細胞の場合、増殖培地20 mLに密集度90%の細胞を含む15 cmのプレート5枚分に相当します。
- 血球計を用いて細胞数を測定するため、プレートを別途1枚用意してください。
室温に戻しておくもの:
- 200×プロテアーゼ阻害剤カクテル
- 1M DTT
- 0.1 M PMSF (同梱なし)
- 10×ChIPバッファー: SDSが完全に溶解していることを確認してください。
氷上に用意しておくもの (各量は4×107個の細胞 (5プレート) に必要な分量):
- 10×グリシン 10 mL
- 1×PBS 200 mL (同梱なし)
- 1×PBS 10 mL + PMSF 100 µL
- 1×バッファーA 10 mL (4×バッファーA 2.5 mL + 水7.5 mL) + 1M DTT 5 µL + 200×プロテアーゼ阻害剤カクテル (PIC) 50 µL + PMSF 100 µL
- 1×バッファーB 11 mL (4×バッファーB 2.75 mL + 水8.25 mL) + 1M DTT 5.5 µL
- 1×ChIPバッファー1 mL (10×ChIPバッファー100 µL + 水900 µL) + 200×プロテアーゼ阻害剤カクテル (PIC) 5 µL + PMSF 10 µL
- 培地20 mLを含む直径15 cmの各プレートに、37%ホルムアルデヒド540 µLを加え、室温で穏やかに振盪しながら10分間インキュベートし、タンパク質とDNAをクロスリンクさせてください。
- ホルムアルデヒドの最終濃度は1%です。
- 有効期限内の新鮮なホルムアルデヒドを用いてください。
- ホルムアルデヒドの添加により、培地の色が変化する場合があります。
- 10×グリシン2 mLを直径15 cmの各プレートに加え、室温で穏やかに振盪しながら5分間インキュベートしてください。
- グリシンの添加により、培地の色が変化する場合があります。
- 接着細胞は、培地を除去し、氷冷した1×PBS 20 mLで細胞を2回洗浄してください。その際、毎回プレートから洗浄液を完全に除去してください。懸濁細胞は、1,500 rpm、4℃で5分間遠心し、氷冷した1×PBS 20 mLで沈殿物を2回洗浄してください。
- 細胞の入ったプレートまたはチューブに氷冷した1×PBS + PMSF混合液2 mLを加えてください。細胞をこすり落とし、さらに/または、冷えたバッファーの中に再懸濁してください。プレート5枚全ての細胞を、15 mLのコニカルチューブに合わせ入れてください。
- 細胞を1,500 rpm、4℃で5分間遠心してください。上清を除去し、細胞を氷冷したバッファーA + DTT + PIC + PMSF混合液10 mLに再懸濁し、氷上で10分間インキュベートしてください。3分毎に転倒混合してください。
- 3,000 rpm、4℃で5分間遠心し、細胞核を沈澱させてください。上清を除去し、沈殿物を氷冷したバッファーB + DTT混合液10 mLに再懸濁してください。再度、遠心し、上清を除去し、沈殿物をバッファーB + DTT混合液1 mLに再懸濁してください。サンプルを1.5 mLの遠心用チューブに移してください。
- Micrococcal Nuclease 5 µLを加え、チューブを数回転倒混合してください。頻繁に撹拌しながら、37℃で20分間インキュベートし、DNAを約150-900 bpに断片化してください。3分から5分おきに転倒混合してください。
- DNAを最適な長さに断片化するために要するMicrococcal Nucleaseの量は、細胞株毎に実験的に決定する必要があるかもしれません (Appendix A参照)。
- バッファーB + DTT混合液1 mL中で、HeLa細胞核を4×107個の細胞につきMicrococcal Nuclease 5 µLで断片化すると、適切なDNAの長さとなります (データシートのFigure 1参照)。
- 0.5 M EDTA 100 µLを加えてDNA断片化を終了し、チューブを氷上に置いてください。
- 13,000 rpm、4℃で1分間遠心し、細胞核を沈澱させ、上清を除去してください。
- 1×ChIPバッファー + PIC + PMSF混合液1 mLに細胞核を再懸濁し、500 µLチューブ2本に分注してください。氷上で10分間インキュベートしてください。
- 溶解物の入った各チューブを数回超音波処理し、核膜を破砕してください。超音波処理の合間は、サンプルを氷上で30秒間インキュベートしてください。
- 細胞核を完全に溶解するための最適条件は、超音波処理の前後に光学顕微鏡でサンプルを観察することで決定できます。
- VirTis Virsonic 100 Ultrasonic Homogenizer/Sonicatorを6に設定し (1/8-inch probe)、20秒間の超音波処理を3回行うことで、HeLa細胞核は完全に溶解されます。
- Dounce homogenizerで20回処理を行っても細胞核は溶解されますが、完全な溶解でない可能性があります。
- 10,000 rpm、4℃で10分間遠心し、溶解物を浄化してください。
- 上清の可溶性クロマチン分画を新しいチューブに移し、DNA断片の分析とクロマチン濃度の測定用に、50 µLを取り分けてください (Section C)。残りのクロマチン調製液は、使用するまで-80℃で保存してください。
C クロマチン断片の分析とクロマチン濃度の測定 (推奨ステップ)
- Section Bのステップ13.で取り分けた50 µLのクロマチンサンプルに、nuclease-free water 100 µL、5M NaCl 6 µL、RNAse A 2 µLを加え、ボルテックスして、37℃で30分間インキュベートしてください。
- RNAse Aで断片化されたサンプルに、Proteinase K 2 µLを加えてください。ボルテックスして、65℃で2時間インキュベートしてください。
- Section Gを参照して、スピンカラムを用いてサンプルのDNAを精製してください。
- DNA精製後、1 kbのDNAマーカーとともに、サンプル10 µLを1%アガロースゲルで電気泳動し、DNAフラグメントサイズを測定してください。DNAは、約150-900 bp (ヌクレオソーム1個-5個; データシートのFigure 1参照) の長さに断片化されているはずです。
- DNA濃度を測定するため、精製したDNA 2 µLをTE 98 µLに加えて50倍希釈し、OD260を測定してください。DNA濃度 (µg/mL) は、OD260 ×2,500の値となります。理想的には、DNA濃度は100-200 µg/mLになります。
注意: 最適なChIPの結果を得るためには、クロマチンのサイズと濃度が非常に重要となります。断片化が進みすぎると定量PCRのシグナルが減少し、断片化が不十分だとバックグラウンドシグナルが増加し、解像度が低下します。また、免疫沈降に加えるクロマチンが少量であっても、定量PCRのシグナルが減少します。クロマチン断片化の最適化については、Appendix Aのプロトコールを参照してください。
D クロマチン免疫沈降
実験開始前に:
室温に戻しておくもの:
- 200×プロテアーゼ阻害剤カクテル
- クロスリンクされたクロマチン調製液 (Section Bのステップ13.より)
- 10×ChIPバッファー: SDSが完全に溶解していることを確認してください。
氷上に用意しておくもの:
- ChIP-Grade Protein Gアガロースビーズ #9007
- 免疫沈降用の抗体、ポジティブコントロールのHistone H3 (D2B12) XP® Rabbit mAb (ChIP Formulated) #4620、およびネガティブコントロールのNormal Rabbit IgG #2729。
オプション: クロスリンクされたクロマチン調製液は、必ずしも下記の希釈を行う必要はありません。希釈していないクロマチン調製液に、直接抗体を加え、クロマチン複合体の免疫沈降を行うことも可能です。
- 免疫沈降の予定回数分に十分な1×ChIPバッファーをチューブに用意してください。免疫沈降1回分として、1×ChIPバッファー400 µL (10×ChIPバッファー40 µL + 水360 µL)、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル2 µLが必要となります。ポジティブコントロールのHistone H3 (D2B12) XP® Rabbit mAb (ChIP Formulated) #4620、およびネガティブコントロールのNormal Rabbit IgG #2729の分を忘れずに用意してください。1×ChIPバッファーとプロテアーゼ阻害剤カクテルの混合液を氷上で冷やしてください。
- 調製したChIPバッファーに、クロスリンクされたクロマチン調製液 (Section Bのステップ13.より) 100 µL (クロマチンDNA 10‐20 µg) を免疫沈降1回分として加えてください。例えば、免疫沈降10回分の場合には、1×ChIPバッファー4 mL (10×ChIPバッファー 400 µL + 水3.6 mL) + プロテアーゼ阻害剤カクテル20 µL + クロマチン調製液1 mLを入れたチューブを用意してください。
- 希釈したサンプル10 µLを2%インプットサンプルとして遠心用チューブに分注し、使用するまで-20℃で保存してください (Section Fのステップ1.)。
- 各免疫沈降のために、希釈したクロマチン500 µLを遠心用チューブに分注し、免疫沈降用抗体を加えてください。免疫沈降用抗体の必要量は各抗体によって異なるため、お客様自身で決定する必要があります。ポジティブコントロールのHistone H3 (D2B12) XP® Rabbit mAb (ChIP Formulated) #4620は、10 µLを免疫沈降サンプルに、ネガティブコントロールのNormal Rabbit IgG #2729は1 µL (1 µg) -5 µL (5 µg) を免疫沈降サンプルに加えてください。免疫沈降サンプルをローテーターを用いて、4℃で4時間から一晩インキュベートしてください。
- ChIP-Grade Protein Gアガロースビーズ #9007を30 µL加え、ローテーターを用いて、4℃で2時間インキュベートしてください。
- Section Eへ進んでください。
E 免疫沈降したクロマチンの洗浄:
実験開始前に:
室温に戻しておくもの:
- 10×ChIPバッファー: SDSが完全に溶解していることを確認してください。
氷上に用意しておくもの (免疫沈降1回分):
- Low salt wash: 1×ChIPバッファー3 mL (10×ChIPバッファー300 µL + 水2.7 mL)
- High salt wash: 1×ChIPバッファー1 mL (10×ChIPバッファー100 µL + 水900 µL) + 5M NaCl 70 µL
- 各サンプル (Section Dのステップ5.より) を6,000 rpmで1分間遠心することで、Protein Gアガロースビーズを沈澱させ、上清を除去してください。
- ビーズにlow salt wash 1 mLを加え、ローテーターを用いて、4℃で5分間インキュベートしてください。ステップ1.とステップ2.を更に2回繰り返し、計3回洗浄してください。
- ビーズにhigh salt wash 1 mLを加え、ローテーターを用いて、4℃で5分間インキュベートしてください。直ちにSection Fに進んでください。
F 抗体/Protein Gビーズからのクロマチン溶出および脱クロスリンク:
実験開始前に:
- 2×ChIP溶出バッファーを37℃のwater bathで温め、SDSが完全に溶解していることを確認してください。
- water bathまたはサーモミキサーを65℃に設定してください。
- 洗浄した各免疫沈降物 (Section Eのステップ3.より) および2%インプットサンプル (Section Dのステップ3.より) 用に、1×ChIP溶出バッファー150 µL (2×ChIP溶出バッファー75 µL + 水75 µL) を用意してください。
- 1×ChIP溶出バッファー150 µLを2%インプットサンプルのチューブに加え、ステップ7.まで室温に置いておきます。
- 6,000 rpmで1分間遠心することで、Protein Gアガロースビーズを沈澱させ、上清を除去してください。
- 各免疫沈降サンプルに、1×ChIP溶出バッファー150 µLを加えてください。
- 穏やかにボルテックスしながら (1,200 rpm)、65℃の温水に30分間浸し、抗体/Protein Gビーズからクロマチンを溶出してください。本ステップには、サーモミキサーの使用を推奨します。ローテーターを用いて室温で溶出できますが、溶出が完全でない可能性があります。
- 6,000 rpmで1分間遠心することで、Protein Gアガロースビーズを沈澱させてください。
- クロマチンが溶出している上清を、注意深く新しいチューブに移してください。
- ステップ1.の2%インプットサンプルチューブを含む、すべてのチューブに、5M NaCl 6 µL、Proteinase K 2 µLを加え、65℃で2時間インキュベートしてください。
- Section Gへ進んでください。
G スピンカラムを用いたDNAの精製
実験開始前に:
- 使用前のDNA洗浄バッファーにエタノール (96‐100%) 24 mLを加えてください。本ステップは、初回のみ行ってください。
- 各DNAサンプル (Section Fより) に対し、DNAスピンカラム/回収チューブをひとつずつ用意してください。
- DNA結合バッファー750 µLを各DNAサンプル150 μLに加えて900 μLにし、軽くボルテックスしてください。
- サンプルに対して、5倍量のDNA結合バッファーを加えます。
- ステップ1.の各サンプル450 µLを、回収チューブに設置したDNAスピンカラムに移してください。
- 14,000 rpmで30秒間遠心してください。
- 回収チューブからDNAスピンカラムを取り除き、液体を捨て、DNAスピンカラムを回収チューブに再設置してください。
- ステップ1.で残った各サンプル450 µLを回収チューブに設置したDNAスピンカラムに移し、ステップ3.とステップ4.を繰り返してください。
- 回収チューブに設置したDNAスピンカラムにDNA洗浄バッファー750 µLを加えてください。
- 14,000 rpmで30秒間遠心してください。
- 回収チューブからDNAスピンカラムを取り除き、液体を捨て、DNAスピンカラムを回収チューブに再設置してください。
- 14,000 rpmで30秒間遠心してください。
- DNAスピンカラムを取り除き、回収チューブと液体を捨ててください。
- DNAスピンカラムを1.5 mL遠心用チューブに設置し、DNA溶出バッファー50 µLを加えてください。
- 14,000 rpmで30秒間遠心し、DNAを溶出してください。
- DNAスピンカラムを取り除き、捨ててください。精製されたDNAの溶出液は、-20℃で保存してください。
H PCRによるDNAの定量化
推奨:
- 汚染の危険性を最小化するため、フィルター入りチップの使用を推奨いたします。
- キットに含まれているコントロールプライマーは、ヒトまたはマウスのRPL30遺伝子に特異的であり、通常のPCRまたはリアルタイム定量PCRのどちらでも使用できます。他種のChIPsを行っている場合は、別途、DNAに特異的なプライマーを設計し、PCRの最適条件を決定してください。
- 非特異的なPCR産物の形成を最小化するため、ホットスタート用Taqポリメラーゼの使用を推奨いたします。
- プライマー選択は非常に重要です。以下の条件に近いプライマーを設計するようにしてください。
| プライマーの長さ: | 24塩基 |
| Tm: | 60℃ |
| GC含量: | 50% |
| アンプリコンのサイズ: | 150-200 bp (通常のPCR) 80-160 bp (リアルタイム定量PCR) |
通常のPCR:
- 適切な数の0.2 mL PCRチューブにサンプル番号をラベルしてください。その際、2%インプットサンプル、ポジティブコントロール用Histone H3サンプル、ネガティブコントロール用Normal Rabbit IgGサンプル、およびDNA汚染確認用のコントロールとしてDNAを含まないチューブを含めてください。
- 各PCRチューブにDNAサンプルを2 µLずつ分注してください。
- 分量不足を防ぐため、実際のチューブの本数に2本追加した量を全体量として、マスターミックスを下記のとおりに用意してください。各PCRチューブにマスターミックス18 µLを加えてください。
| 試薬 | 20 µLチューブ1本分のPCR反応液 |
| Nuclease-free H2O | 12.5 µL |
| 10×PCRバッファー | 2.0 µL |
| 4 mM dNTPミックス | 1.0 µL |
| 5 µM RPL30プライマー | 2.0 µL |
| Taq DNAポリメラーゼ | 0.5 µL |
- 以下のプログラムでPCRを開始してください。
| a. | 初期変性 | 95℃、5分間 |
| b. | 変性 | 95℃、30秒間 |
| c. | アニーリング | 62℃、30秒間 |
| d. | 伸長反応 | 72℃、30秒間 |
| e. | ステップb-dを繰り返し、計34サイクル反応させてください。 | |
| f. | 最終伸長 | 72℃、5分間 |
- 反応終了後、100 bp DNAマーカーとともに、各反応液10 µLを2%アガロースゲルまたは10%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動してください。期待されるPCR産物のサイズは、ヒトRPL30の場合は161 bp、マウスRPL30の場合は159 bpとなります。
リアルタイム定量PCR:
- 適切な数のPCRチューブまたはPCRプレートをラベルしてください。その際、ポジティブコントロール用Histone H3サンプル、ネガティブコントロール用Normal Rabbit IgGサンプル、DNA汚染確認用のコントロールとしてDNAを含まないチューブ、および標準曲線作成と増幅効率決定用として2%インプットクロマチンDNAの連続希釈試料 (希釈なし、1:5、1:25、1:125) を含めてください。
- 各PCRチューブまたは各ウェルにDNAサンプルを2 µLずつ分注してください。
- 分量不足を防ぐため、実際のチューブの本数に2本追加した量を全体量として、マスターミックスを下記のとおりに用意してください。各PCRチューブまたは各ウェルにマスターミックス18 µLを加えてください。
| 試薬 | 20 µLチューブ1本分のPCR反応液 |
| Nuclease-free H2O | 6 µL |
| 5 µM RPL30プライマー | 2 µL |
| SYBR-Green Reaction Mix | 10 µL |
- 以下のプログラムでPCRを開始してください。
| a. | 初期変性 | 95℃、3分間 |
| b. | 変性 | 95℃、10秒間 |
| c. | アニーリング/伸長 | 60℃、30秒間 |
| d. | ステップb、cを繰り返し、計40サイクル反応させてください。 |
- リアルタイムPCR機に付属のソフトウェアで定量結果を解析してください。
Appendix A: クロマチン断片化の最適化
クロスリンクされたDNAを150-900 bpの長さに断片化するための最適条件は、細胞タイプと細胞濃度、およびMicrococcal Nucleaseの濃度に依存します。下記は、特定の細胞タイプと細胞濃度に対する、クロマチン断片化の最適条件を決定するためのプロトコールです。
- Section Bのステップ1.-6.に従い、4×107個の細胞を用いてクロスリンクされた細胞核を調製してください。
- Section Bのステップ6.の細胞核調製液200 µLを遠心用チューブ5本に分注し、氷上に置いてください。
- Micrococcal Nuclease 5 µLを1×バッファーB + DTT混合液20 µLに加えてください(酵素を5倍希釈します)。
- ステップ2.の各チューブに、希釈したMicrococcal Nuclease 0 µL、2.5 µL、5 µL、7.5 µL、10 µLを加え、チューブを数回転倒混合し、37℃でよく混ぜ合わせながら、20分間インキュベートしてください。
- 0.5M EDTA 20 µLを加えることで断片化を停止し、チューブを氷上に置いてください。
- 13,000 rpm、4℃で1分間遠心して細胞核を沈澱させ、上清を除去してください。
- 細胞核を1×ChIPバッファー + PIC + PMSF混合液200 µLに再懸濁し、氷上で10分間インキュベートしてください。
- 溶解物を数回超音波処理し、核膜を破砕してください。超音波処理の合間は、サンプルを氷上で30秒間インキュベートしてください。
- 細胞核を完全に溶解するための最適条件は、超超音波処理の前後に光学顕微鏡でサンプルを観察することで決定できます。
- VirTis Virsonic 100 Ultrasonic Homogenizer/Sonicatorを6に設定し (1/8-inch probe)、20秒間の超音波処理を3回行うことで、HeLa細胞核は完全に溶解されます。
- Dounce homogenizerで20回処理を行っても細胞核は溶解されますが、完全な溶解でない可能性があります。
- 10,000 rpm、4℃で10分間遠心し、溶解物を浄化してください。
- 超音波処理した各溶解物50 µLを新しい遠心用チューブに移してください。
- 各サンプル50 µLに、nuclease-free water 100 µL、5M NaCl 6 µL、RNAse A 2 µLを加えてください。ボルテックスして、37℃で30分間インキュベートしてください。
- RNAse Aで断片化された各サンプルに、Proteinase K 2 µLを加えてください。ボルテックスして、65℃で2時間インキュベートしてください。
- 1 kb DNAマーカーとともに、各サンプル20 µLを1%アガロースゲルで電気泳動し、DNAフラグメントサイズを測定してください。
- DNAサイズ150-900 bpが得られた断片化の条件を確認してください(ヌクレオソーム1個-5個; データシートのFigure 1参照)。本プロトコールによる目的サイズのDNAフラグメントを産出したMicrococcal Nucleaseの量は、目的サイズのDNAフラグメントを得るために4×107個の細胞に加える量と同量となっています。例えば、本プロトコールで希釈したMicrococcal Nuclease 5 µLが150-900 bpサイズのDNAフラグメントを産出したとすると、Section Bのステップ7.においても、5 µLのMicrococcal Nucleaseを4×107個の細胞に加えてクロマチンを断片化することになります。
- 目的サイズのDNAフラグメントが得られなかった場合は、Micrococcal Nucleaseの量を調整しながら、本プロトコールを繰り返してください。
Appendix B: トラブルシューティングガイド
| 問題 | 原因 | 推奨する対応策 |
|---|---|---|
断片化したクロマチンの濃度が極めて低い。 |
クロマチン断片化の際に、十分な細胞が加えられていない、または断片化後、細胞核が完全に溶解されていない。 |
クロマチン調製液の濃度が200 µg/mL程度の場合は、各IPに20 µg/IPになるまでクロマチンを加えてください。 |
クロスリンクの前にカウント用に別途用意したプレートの細胞数を数えてください。さらに/または、超音波処理の前後に光学顕微鏡で観察し、細胞核が完全に溶解していることを確認してください。 |
||
クロマチンの断片化が不十分で、フラグメントが大きすぎる (900 bp以上)。 |
クロスリンクが過剰である。10分以上のクロスリンク処理は、クロマチン断片化を阻害する恐れがある。 |
クロスリンク処理の時間を10分間に短縮してください。 |
細胞数が多すぎる、またはMicrococcal Nucleaseの量が足りない。 |
クロスリンクの前に、カウント用に別途用意したプレートの細胞数を数え、Appendix Aに従ってクロマチン断片化の最適化をしてください。 |
|
クロマチンの断片化が進行しすぎており、フラグメントが小さすぎる (全てヌクレオソーム1個分に相当する150 bp)。クロマチンがヌクレオソーム1個分のサイズに完全に断片化されると、特に150 bp以上のアンプリコンの定量PCRのシグナルを減少させる。 |
細胞数が少ない、またはMicrococcal Nucleaseの量が多い。 |
クロスリンクの前に、カウント用に別途用意したプレートの細胞数を数え、Appendix Aに従ってクロマチン断片化の最適化をしてください。 |
PCR産物が得られない、または非常に僅かである。 |
PCR反応液に十分なDNAが加えられていない。または、PCR条件が最適でない。 |
PCR反応液にDNAを追加する。または、PCRサイクル数を増やす。 |
PCR増幅領域がヌクレオソーム・フリー領域に渡っている。 |
クロスリンクし、断片化したクロマチンから精製したDNAを用いて、PCR条件をプライマーに対して最適化してください。異なるプライマーを設計し、アンプリコンの長さが150 bp以下になるようにしてください (Section Hのプライマー設計に対する推奨を参照のこと)。 |
|
十分なクロマチンがIPに加えられていない。または、クロマチンの断片化が進行しすぎている。 |
上記で同じ問題を取り扱っていますので、そちらを参照してください。 |
|
ポジティブコントロールのHistone H3-IP RPL30のPCR産物が得られない。 |
IP反応液に十分なクロマチンまたは抗体が加えられていない。または、IPのインキュベーションが短すぎる。 |
各IP反応液に、少なくともクロマチン20 µg、抗体10 µLを加え、一晩インキュベートした後、Protein Gビーズを加え、さらに2時間インキュベートしてください。 |
Protein Gビーズからのクロマチン溶出が不完全である。 |
65℃でビーズの懸濁状態を保つよう頻繁に撹拌しながら、Protein Gビーズからクロマチンを溶出してください。 |
|
ネガティブコントロールのRabbit IgG-IPとポジティブコントロールのHistone H3-IPのPCR産物が同量になる。 |
IP反応液にクロマチンまたは抗体を加えすぎている。 |
クロマチン50 µg、抗体10 µLを上限で各IP加えてください。クロマチンまたは抗体をIP反応液に加えすぎると、バックグラウンドが高くなります。 |
PCR反応液にDNAを加えすぎている。または、PCRサイクル数が多すぎる。 |
PCR反応液に加えるDNAを少なくするか、PCRサイクル数を減らしてください。線形増幅領域でPCR産物の分析を行わないと、希釈系列を作成しても、濃度依存性を正確に調べることができません。 |
|
抗体-IPのPCR反応液からPCR産物が得られない。 |
PCR反応液にDNAが十分に加えられていない。 |
PCR反応液にDNAを追加するか、PCRサイクル数を増やしてください。 |
IP反応液に抗体が十分に加えられていない。 |
通常はIP反応液に1-10 µgの抗体を加えますが、実際に必要な量は抗体によって大きく異なります。IPに加える抗体の量を増やしてみてください。 |
|
IPに不適切な抗体である。 |
通常のIP反応で抗体が使えることを確認してください。 |
posted March 2008
revised April 2008