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Wnt/β-カテニン シグナル伝達 (Wnt/β-Catenin Signaling)

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経路の説明:

Wnt/β-カテニン経路は、脊椎動物と無脊椎動物の発生における細胞の運命の決定を調節する。Wnt-リガンドは分泌された糖タンパク質で、Frizzled受容体に結合するが、この結合によって多機能キナーゼであるGSK-3βをAPC/Axin/GSK-3β複合体から離脱させるようなカスケードが開始する。Wnt-シグナルが無い場合には (オフ状態)、転写の共役因子であると同時に細胞膜に埋め込まれ、細胞と細胞の接着におけるアダプタータンパク質として存在するβ-カテニンが、APC/Axin/GSK-3β複合体による分解に向かう。CK1とGSK-3βの協調的な作用によってβ-カテニンが適切なリン酸化を受けると、ユビキチン化と、β-TrCP/SKP複合体を介したプロテアソームによる分解に至る。Wntが結合する場合には (オン状態)、Dishevelled (Dvl) がリン酸化とポリユビキチン化を受けて活性化され、今度はこれが分解複合体からGSK-3βを遠ざける。これが、β-カテニンの安定化のために、Rac-1依存的な核移行をさせてLEF/TCF DNA結合因子へと誘引するが、そこでは、Groucho-HDAC補助抑制因子と置換することによって転写活性化因子として作用する。さらに、ホメオドメイン因子のProp1と複合体を形成して、β-カテニンは、抑制複合体形成と同様に、状況に依存した活性化によっても作用することが示された。重要なことは、β-カテニンの点変異は制御を逸脱して安定化することである。ヒトの癌においてこの経路の制御の逸脱があることが示されたことにより、APC及びAxinの変異もまた、いくつかの腫瘍で明らかにされている。発生の間に、Wnt/β-カテニン経路は、多くの異なる型の細胞や組織において、レチノイン酸、FGF、TGF-β、及びBMPなどの他の多くの経路からのシグナルを集約している。さらに、GSK-3βはまたグリコーゲン代謝や他の重要な経路に関与しており、そのため、これを阻害することが糖尿病や神経変性疾患に対して適切であるとされてきた。

参考文献:

We would like to thank Dr. Hans Widlund, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA, for contributing to this diagram.

翻訳監修: 大阪薬科大学 生体防御学研究室 天野富美夫先生

created January 2003

revised December 2012

Wnt/β-カテニン シグナル伝達 (Wnt/β-Catenin Signaling)