CST logo

mTOR シグナル伝達 (mTOR Signaling)

mTOR Signaling

highlighted node

経路の説明:

mTOR (哺乳動物のラパマイシン標的) は、2種類の異なる複合体として存在する、変則的なセリン/スレオニンキナーゼである。mTOR複合体1 (mTORC1) は、mTOR、Raptor、GβL (mLST8)、及びDeptorから構成され、ラパマイシンによって部分的に阻害される。mTORC1は、増殖因子、栄養素、あるいはエネルギーの利用状況を反映する多くのシグナルを統合して、条件が良い時には細胞増殖を促進し、ストレス条件下や条件が良くない時には分解過程を亢進させる。増殖因子やホルモン (たとえば、インスリン) は、TSC2を不活性化してmTORC1の阻害を妨害するAktを通じてmTORC1にシグナルを伝える。もう一つの方法は、低ATPレベルによってAMPK依存的なTSC2の活性化が起こり、mTORC1のシグナル伝達が減少する。アミノ酸の利用の可能性の情報は、Ragタンパク質の関与する経路を経てmTORC1に伝達される。活性化されたmTORC1によって、下流にある標的 (4E-BP1及びp70 S6キナーゼ) のリン酸化を介したmRNAの翻訳、オートファジーの抑制、リボソームの生合成、そしてミトコンドリアの代謝や脂肪生成につながる転写活性化を含む、数多くの下流の生物現象が起こる。mTOR複合体2 (mTORC2) は、mTOR、Rictor、GβL、Sin1、PRR5/Protor-1、及びDeptorから構成され、Aktを活性化することによって細胞の生存を促進する。mTORC2はまた、PKCαの活性化によって細胞骨格の動きを調節し、SGK1のリン酸化を通じてイオンの透過性や増殖を調節する。異常なmTORシグナル伝達は、がんや心血管系疾患、及び代謝障害などの多くの病態に関与する。

参考文献:

We would like to thank Prof. Nahum Sonenberg and Mark Livingstone, Department of Biochemistry, McGill University, Montreal, Quebec, for reviewing this diagram.

翻訳監修: 大阪薬科大学 生体防御学研究室 天野富美夫先生

created September 2008

revised November 2012

mTOR シグナル伝達 (mTOR Signaling)