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PTMScan® Discoveryサービス
〜特定のPTM/キナーゼモチーフに焦点を絞ったMS解析〜

PTMScan Discovery Proteomic Services Workflow

PTMScan® Discoveryにより、1回のLC-MS/MS解析で数百から数千もの新規の翻訳後修飾 (PTM) サイトを同定することができます。

PTMScan® Discoveryの特徴

  • CST独自のPTM/モチーフ抗体を使用して、PTM含有ペプチドを濃縮します。
  • 濃縮されたペプチドの同定・定量を行うために、LC-MS/MS解析をします。
  • ヒト、マウス、ネズミ、ショウジョウバエ、シロイヌナズナなど、様々な生物種由来のサンプルで使用可能です。

解析受託サービスのワークフローやサンプル調製方法、納期については、こちらをご確認ください。ご自身で抗体による濃縮とLC-MS/MS解析を実施される場合は、PTMScan®キットをご検討ください。

PTMScan® Discoveryで見出された候補分子の追加検証には、CSTの翻訳後修飾に特異的な抗体およびTotal抗体をご利用ください。これらの抗体は、社内試験により複数の実験アプリケーションでの使用が検証されています。

UbiScan® - Ubiquitination Proteomics

UbiScan Process

タンパク質のユビキチン化は、プロテアソーム分解やエンドサイトーシス、DNA修復、細胞周期の制御および遺伝子発現など、多くの細胞プロセスに関与しています。異常なユビキチン化は、がんや神経変性疾患、メタボリックシンドロームなどの疾患と関連しています。

UbiScan®プロテオミクスでは、ユビキチン化タンパク質がトリプシン消化された際に、リジン残基上に生じるジグリシンレムナント (K-ε-GG) に対するCST独自の抗体を使用します。このユビキチンレムナントモチーフ抗体を用いて、LC-MS/MS解析の前にトリプシン消化したサンプルからユビキチン化ペプチドを濃縮し、何千ものユビキチン化タンパク質の定量的プロファイリングを行います。(NEDD8やISG15など他のユビキチン様修飾も、K-ε-GGレムナントを残します。)

オンラインセミナーでは、 UbiScan®プロテオミクスを用いたユビキチロームの大規模な定量的解析例をご覧いただけます。

UbiScan Proteomics Service

Target Description Motif Reference Data
Target Description Motif Reference Data
Ubiquitin Remnant K-ε-GG Mouse Liver | XLS | RAW

SUMOScan™ - SUMOylation Proteomics

Small Ubiquitin-like Modifier (SUMO) は小型のタンパク質で、ターゲットタンパク質のリジン残基に共有結合することで可逆的な修飾を起こします。タンパク質のSUMO化は、下記に示す数多くの細胞プロセスで重要な役割を果たしています。

  • 核輸送
  • DNAの複製・修復
  • 有糸分裂
  • シグナル伝達

SUMO化プロテオミクスのためのSUMOScan™技術により、CST独自の抗体を用いてWaLPで消化したサンプルからSUMO化したペプチドを濃縮することができます。WaLPはスレオニン、バリン、アラニン、セリンに特異性があるユニークなタンパク質分解酵素で、SUMOのC末端の脂肪族残基を切断します。その結果、SUMO化を受けた基質タンパク質のリジン残基にジグリシンレムナント (K-ε-GG) が生じます。K-ε-GGを含むペプチドは、すでに確立されたユビキチンプロファイリング (UbiScan®技術) で開発された方法によって同定されます (Figure 1)。このように、同じサンプルをWaLPもしくはトリプシンで処理することにより、SUMO化もしくはユビキチン化の解析にそれぞれ用いることができます。

特異的なSUMOプロテアーゼ (SENP 1と2) を使用して、SUMOScan™技術により同定したK-ε-GGサイトがSUMO化によるもので、ユビキチン化によるものでないことを検証しました (Figure 2)。この結果により、ユビキチン化ペプチドがSUMO化サンプルにコンタミネートしないことが確認されました。

SUMOScan™ Schematic Representation

Figure 1. ジグリシンレムナント (K-ε-GG) モチーフ抗体を使用して、SUMO化ペプチド (左) とユビキチン化ペプチド (右) をそれぞれ濃縮する方法を示した概略図

SUMOScan™ K-ε-GG peptides

Figure 2. 棒グラフは、SENP 1とSENP 2で処理をしたSUMO化タンパク質 (A) とユビキチン化タンパク質 (B) に由来するK-ε-GGペプチドの定量結果を示しています。SUMO化ペプチドはSENP 1/2処理によって減少しましたが、一方でユビキチン化タンパク質は変化しませんでした。また、この結果はウェスタンブロッティングのデータと一致していました。

MethylScan® - Methylation Proteomics

MethylScan Process

メチル化抗体とその標的となる修飾

タンパク質のメチル化は一般的な翻訳後修飾 (PTM) であり、その多くはアルギニン残基とリジン残基で起こります。アルギニンのメチル化は、RNAプロセシング、遺伝子転写、DNA損傷の修復、タンパク質の移行およびシグナル伝達などのプロセスを制御しています。リジンのメチル化は、ヒストン機能を制御することで最もよく知られており、遺伝子転写のエピジェネティックな制御に関与しています。

MethylScan®プロテオミクスでは、CST独自のメチル化アルギニン (Me-R) またはメチル化リジン (Me-K) 抗体を用いて、LC-MS/MS解析の前にトリプシン消化したサンプルからメチル含有ペプチドを濃縮します。CSTのメチル化抗体は、ペプチドブロッキング実験やペプチドアレイなどで厳しくテストを行い、特異性や感度が検証されています。これらの抗体はそれぞれ、メチル化されたアルギニン残基およびリジン残基のみ認識するようにデザイン・作成されています。

MethylScan®プロテオミクスを活用している文献をご覧いただけます。

MethylScan Dot Matrix

マウスの脳および胚におけるアルギニンメチル化の定量解析:上記の散布図の各プロットは、#12235 PTMScan® Mono-Methyl Arginine Motif [mme-RG] Kitで同定した個々のアルギニンモノメチル化ペプチドを表す。X軸はマウスの脳および胚のモノメチル化部位のペプチドの総強度をlog10 の値で表し、Y軸はマウスの脳と胚のペプチドのlog2強度比を表す。カットオフ値を5倍に設定し、アルギニンモノメチル化ペプチドについては、任意のlog2比として15 (脳特異的) および-15 (胚特異的) を割り当てた。脳と胚でそれぞれ濃縮された代表的なメチル化ペプチドをグラフ上のハイライトで示す。

MethylScan® Proteomics Services

Target Description Motif Reference Data
Target Description Motif Reference Data
Mono-Methyl Arginine R-Me Mouse Embryo | XLS | RAW
Asymmetric Di-Methyl Arginine R-2Me(a)  
Symmetric Di-Methyl Arginine R-2Me(s)  
Pan-Methyl Lysine K-Me, K-2Me, K-3Me  

AcylScan™ - Acylation Proteomics

Acylscan Workflow
Acylscan Venn Diagram

野生型およびSirt5ノックアウト型のマウスの肝臓ペプチドにおけるリジンアシル化プロファイリング:ベン図は、4種類のアシル化特異的抗体を用いて同定された修飾部位の重複度を示す。

リジン残基は正荷電したε-アミノ基側鎖により、様々な翻訳後修飾を受けます。アシル基は、代謝中間体であるアセチルCoA、スクシニルCoA、マロニルCoA、グルタリルCoA、ブチリルCoA、クロトニルCoAから転移し、正電荷を帯びたリジンをすべて中和して構造を変化させ、基質タンパク質の機能に影響を及ぼします。アシル化により制御される細胞の機能には、細胞周期制御、ミトコンドリア代謝、細胞骨格制御、タンパク質間相互作用などが含まれます。

AcylScan™プロテオミクスでは、CST独自のアセチル化リジン (Ac-K)、グルタリル化リジン (Glut-K)、マロニル化リジン (Mal-K)、プロピオニル化リジン (Prop-K)、スクシニル化リジン (Succ-K) 抗体を用いて、LC-MS/MS 解析の前にトリプシン消化したサンプルからそれぞれのアシル含有ペプチドを濃縮します。

AcylScan™ Services

Service Target Description Motif Reference Data
Service Target Description Motif Reference Data
AcetylScan® Acetyl-Lysine Ac-K Mouse Liver | XLS | RAW
GlutarylScan™ Glutaryl-Lysine Glut-K  
MalonylScan™ Malonyl-Lysine Mal-K  
PropionylScan™ Propionyl-Lysine Prop-K  
SuccinylScan™ Succinyl-Lysine Succ-K  

PhosphoScan® Phosphorylation Proteomics

PTMScan Discovery Workflow

プロテインキナーゼによる不可逆的なリン酸基の付加は、タンパク質の機能を活性化もしくは抑制する可能性があります。例えばMAPキナーゼシグナル経路などのリン酸シグナルカスケードは細胞外から細胞内にシグナルを伝達するのに重要であり、最終的に遺伝子の転写を変化させます。異常なリン酸化は、がん、糖尿病、神経変性疾患などの広範な病気にみられます。したがって、タンパク質のリン酸化状態を明らかにすることは、健康なおよび病的な細胞プロセスを両方とも理解する上で重要となります。

PhosphoScan®プロテオミクスの用途

  • シグナル経路のプロファイリング
  • バイオマーカーの探索
  • 薬物標的の検証

なぜリン酸化の解析に抗体による濃縮を検討するのでしょうか?

  • IMACに比較して、リン酸化されるアミノ酸 (S/T/Y) や興味のあるキナーゼモチーフにより焦点を絞って、リン酸化サイトを見つけることができます。
  • PTMScan®とIMACによる濃縮法は高度に相補的であり、それぞれに異なるリン酸化ペプチドプールを濃縮します。
  • PTMScan®とIMACの相補性を示すデータをご覧ください。
PTMScan Discovery Dot Matrix

MKN-45細胞を用いたリン酸化チロシンのプロファイリング。DMSO (コントロール)、1 μM SU11274、200 nM Staurosporine #9953で2時間処理を行ったMKN-45細胞からペプチドサンプルを抽出し、#8803 PTMScan® Phospho-Tyrosine Rabbit mAb (P-Tyr-1000) Kitを用いて抗体濃縮を行いました (上段) 。それと並行して、LC-MS/MS解析で濃縮前のサンプルを用いたTotalタンパク質のプロファイリングを行いました (下段)。SU11274処理またはStaurosporine処理により減少したペプチドは赤色で示し、一方で増加したペプチドは緑色で示しました。また、複数回の同解析の%CVヒストグラムを右に示し、%CVの中央値を青で示しました。

PhosphoScan® Services

お好きなSer/Thrモチーフ抗体を混ぜ合わせて解析サービスに使用することも可能です。お気軽にお問い合わせください。

Target Description Motif Reference Data
Target Description Motif Reference Data
14-3-3 Binding Motif (R/K)XX(s/t)XP  
Akt Substrate RXX(s/t) Mouse Liver | XLS | RAW
Akt Substrate RXRXX(s/t) Mouse Liver | XLS | RAW
AMPK Substrate LXRXX(s/t) Mouse Liver | XLS | RAW
ATM/ATR Substrate (s/t)Q Mouse Liver | XLS | RAW
ATM/ATR Substrate (s/t)QG Mouse Liver | XLS | RAW
CDK Substrate (K/R)(s/t)PX(K/R)  
CK2 Substrate (s/t)(D/E)X(D/E)  
MAPK/CDK Substrate PX(s/t)P, (s/t)PX(K/R) Mouse Liver | XLS | RAW
PDK1 Docking Motif (F/K)XX(F/Y)(s/t)F/Y) Mouse Liver | XLS | RAW
PKA Substrate (K/R)(K/R)X(s/t) Mouse Liver | XLS | RAW
PKC Substrate (K/R)X(s/t)X(K/R) Mouse Liver | XLS | RAW
PKD Substrate LXRXX(s/t)  
PLK Binding Motif S(s/t)P Mouse Liver | XLS | RAW
tP Motif (s/t)P, (s/t)PP  
tPE Motif (s/t)PE Mouse Liver | XLS | RAW
tXR/tPR Motif (s/t)XR, (S/t)PR Mouse Liver | XLS | RAW
Phospho-Tyrosine (pY-1000) y Mouse Brain | XLS | RAW

Caspase Cleavage Substrate Proteomics

アポトーシスの内因性 (intrinsic) および外因性 (extrinsic) 経路には、カスパーゼカスケードが関与します。ヒトプロテオームには、数千にも及ぶ既知のまたは推定上のカスパーゼ開裂部位が含まれています。カスパーゼ基質の大部分はアスパラギン酸残基で開裂し、一般的なDEXDモチーフを有しC末端にアスパラギン酸を持つ断片を生じます。

PTMScan®技術では、カスパーゼ開裂基質のプロテオミクスにDEXDモチーフに対する抗体を用いて、LC-MS/MS解析の前処理として、トリプシン消化したサンプルから開裂カスパーゼ基質ペプチドを効率よく濃縮します。

Caspase Sequencing

カスパーゼ開裂基質のプロテオミクス:PTMScan®のLC-MS/MS解析の結果から、C末端にアスパラギン酸を持つ1,044種類のトリプシン消化ペプチドを抽出し、上記のモチーフロゴを作成しました。ペプチドサンプルは、アポトーシス誘導のために#9953 Staurosporine (1 μM、3時間) 処理を行ったHeLa細胞から抽出しました。ペプチドの濃縮には、#12810 PTMScan® Cleaved Caspase Substrate Motif [DE(T/S/A)D] Kitを使用しました。モチーフロゴは、C末端がアスパラギン酸のペプチドにおける、アミノ酸の相対的な出現頻度を表しています。

Cleaved Caspase Substrate Motif [DE(T/S/A)D] MultiMab Western Blot

#8698 Cleaved Caspase Substrate Motif [DE(T/S/A)D] MultiMab™ Rabbit mAb mix未処理 (-) あるいは、#9953 Staurosporine (1 μM、3時間) で処理 (+) したNIH/3T3細胞およびHeLa細胞をウェスタンブロッティングで解析しました。#8698 (上段) または、ローディングコントロールとして#5174 GAPDH (D16H11) XP® Rabbit mAb (下段) を使用した結果を示します。

Caspase Cleaved Substrate Proteomics Service

Target Description Motif Reference Data
Target Description Motif Reference Data
Cleaved Caspase Substrate DEXD  

PTMScan® Discovery in Translational Research (A Case Study)

From Bench to Bedside

PTMScan Discovery Workflow, A Case Study

CSTは、非小細胞肺がん (NSCLC) におけるチロシンキナーゼ活性について大規模な研究を行い、新規の疾患誘発因子を検出しました (1)。LC-MS/MS解析の前処理として、リン酸化チロシン抗体を用いて、41のNSCLC細胞株および150のNSCLC腫瘍組織からリン酸化ペプチドを濃縮しました。

この解析では、2,700種類を超えるタンパク質の4,551のリン酸化チロシン残基が同定されました。チロシンキナーゼであるALK (anaplastic lymphoma kinase) は、追加検証の候補分子の上位10種に含まれていました。

EML4-ALK Fusion

さらなる解析によって、一部のNSCLC細胞株と腫瘍組織においてEML4 (echinoderm microtubule-associated protein-like 4) のN末端とALKのC末端が融合していることが明らかになりました。後続の研究により、NSCLC患者の3-7%において腫瘍内に融合タンパク質が発現していることが明らかにされ、高い発がん性が示唆されています (1-4)。EML4-ALK融合タンパク質を発現しているがん細胞は、低分子ALK阻害薬クリゾチニブへの感受性が高いため、2011年にクリゾチニブのALK陽性NSCLCへの適応がFDAによって承認されました (2)。

CSTは、特異性と感度の高い抗体である、#3633 ALK (D5F3®) XP® Rabbit mAb を開発しました。

この抗体は、全長ALKタンパク質およびEML4-ALK融合タンパク質を検出します。FDAは、CSTがライセンス提供したALK D5F3®クローンを用いた免疫組織化学染色 (IHC) によるコンパニオン診断を承認しました (3)。これによって、医師がクリゾチニブ投与を検討するべきNSCLC患者を判別できるようになりました。

IHC Analysis of ALK Expression

#3633 ALK (D5F3®) XP® Rabbit mAbを用いた、ALK高発現型 (上段) と低発現型 (下段) のヒト肺がん組織のパラフィン包埋ブロックを用いた免疫組織化学染色。

References

  1. Rikova K, Guo A, Zeng Q, Possemato A, Yu J, Haack H, Nardone J, Lee K, Reeves C, Li Y, Hu Y, Tan Z, Stokes M, Sullivan L, Mitchell J, Wetzel R, Macneill J, Ren JM, Yuan J, Bakalarski CE, Villen J, Kornhauser JM, Smith B, Li D, Zhou X, Gygi SP, Gu TL, Polakiewicz RD, Rush J, Comb MJ (2007) Global survey of phosphotyrosine signaling identifies oncogenic kinases in lung cancer. Cell 131(6), 1190–203.
  2. FDA approves Xalkori with companion diagnostic for a type of late-stage lung cancer
  3. Ventana receives FDA approval for the first fully automated IHC companion diagnostic to identify lung cancer patients eligible for XALKORI® (crizotinib)

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