アポトーシス: BIR ドメイン(領域)
The third BIR domain of XIAP, showing zinc atom and binding of Smac N-terminal residues (red).
ドメインの結合および機能
バキュロウイルスIAP 反復配列(Baculovirus IAP Repeat, BIR)ドメインはおよそ70アミノ酸からなる亜鉛結合領域で、最初はIAP(Inhibitors of Apoptosis; アポトーシス阻害物質)ファミリータンパク質間に見られる相同的な配列から同定された。タンパク質あたり1から3個のタンデムコピーを持つものとして、BIR 領域は真核生物で80種類以上の異なるタンパク質で同定されている。BIR ドメインとして知られていることの大部分は、IAP タンパク質における役割から来ている。IAP は、細胞内でアポトーシスシグナルを伝達するシステインプロテアーゼの一群であるカスパーゼに結合し、これを阻害する。このBIR ドメインは、IAP タンパク質が無脊椎動物の細胞死誘導物質(すなわち、ショウジョウバエのReaper、Grim、HID およびDoom)や脊椎動物、無脊椎動物のカスパーゼというプロテアーゼなど、数々の前アポトーシス因子(proapoptotic factors)と相互作用するために必要である。カスパーゼ9の阻害においては、XIAP の3番目のBIR ドメインは、プロカスパーゼ9のタンパク分解によって生じるカスパーゼ9のp12 小サブユニットに対し、そのリンカーペプチド上にあるATRF/AVPY のN末端モチーフと相互作用する。この相互作用はSmac/Diablo タンパク質によって調節されているが、これが高親和性のBIR3 相互作用ペプチドを提示してXIAP BIR3 結合を阻害し、それによってXIAP をカスパーゼ9から隔離することによる。XIAP の2番目のBIR ドメインは、カスパーゼ結合の調節因子として作用する抗アポトーシス効果を発揮するが、これに対してN末端のリンカーはカスパーゼ3および7の基質結合部位の溝と相互作用して活性を阻害する。このリンカーペプチドは、カスパーゼの活性部位をまたいで基質の結合の反対向きにある。この第2のBIR ドメインを欠失させるとXIAP の抗アポトーシス作用が消失するが、これはBIR ドメインを除くとこのタンパク質がカスパーゼの結合に悪影響を及ぼすような立体構造を取ることができなくなるためである。最後に、BIR ドメインはまた、同種親和性を持つ相互作用を媒介することもできるように思われる。
参考文献
- Wu, G. et al. (2000) Nature 408, (6815), 1008–1012.
例: ドメインタンパク質
例: ドメインタンパク質と結合パートナー
| BIR Domain Proteins | Binding partners |
| Survivin | Survivin via a homotypic interaction |
| Op | HID, Grim, Reaper |
| D-AIP1 | HID, Grim |
| D-AIP2 | Reaper |
翻訳監修: 大阪薬科大学 生体防御学研究室 天野富美夫先生